P.S.F. Records Modern Music 研究室

日本のアンダーグラウンド音楽シーンを牽引した今は亡きPSF Records/モダ〜ンミュージックの功績を記憶するためのPSF全カタログレビュー・思い出・投稿用ファンサイト。For Psychedelic Speed Freaks "FREAKS" We are always open to your contribution. Please contact readily. 4ji10pun@gmail.com

PSF-1〜PSFD-16 (PSF Records) High Rise 不失者 Ghost White Heaven 向井千惠 吉沢元治 角谷美知夫 Tokyo Flashback 他

難易度の☆は多いほど難度高いです

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PSF-1,1984

HIGH RISE / Psychedelic Speed Freaks

10点 難易度☆☆☆☆☆(この音質に慣れる必要があるため・宮岡)

レビュー募集中

(予定執筆者:桜井晴紀, )

 

https://youtu.be/2_VNsqlfyUs

 

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PSF-2,1986年,PSFD-2,1993年

HIGH RISE / ll

10点 難易度☆ (聴きやすいですね。宮岡)

 


記憶の彼方より
(参考資料 : G-modern Vol.13)

これは上質なハードロックである。 サイケかどうかは最早問題ではなく、ハードロックである。
そして、地の果てまで疾走する。

私も所持している記念すべき一枚目のアルバムは、 どこかの練習スタジオでカセットテレコで録音したそうであるが、 この二枚目のアルバムは所謂"マイクを何本も立てて" 録音した物との事。
またこのアルバムを録音した頃からドラマーが高橋幾郎氏から氏家 悠路氏となり、ライブハウスで演奏する様になったらしい。
折しも時代はインディーズブームに沸き、 地下には本当に沢山の独特な、不思議な、 変わったバンドが犇いていた。
非常に繊細であるとか、 極端に人見知りをするだとか精神が不安定であるとか。。 不健全さが大っぴらに美点となるのはこの頃からではなかったかし ら。もう少し前かな。 わたしもジャンクフードばかり食べて栄養失調気味だったから、 他人をとやかく言えないけれど。
そんな中で、サイケデリックなムードを愛する層にHIGH RISEの噂は流れていた。
サイケデリックであると言う事はどういう事か。
ドラッギーである、オルガンが鳴っている、 キーがどんどん転調して捉え所ない、とか? 髪を伸ばしペイズリー模様やカラフルなシャツを着ている事か。 或いは黒い服を。
それは所詮、ごく表面的な要素でしか無いだろう。 ぎりぎりまで追い込んで、とある境界線を越えた時、 吹っ切れた様に爽快な動きを見せたスタイルであり、 追い込まれ迷走するスタイルである。
サイケデリックであるかどうかが重要なポイントとなる事も多いけ れど、果たしてそれは美点なのだろうか?
この盤が、サイケデリックであるかどうかはよくわからない。 少なくとも上質のハードロックであるのは確かだ。
HIGH RISEやPSF系のライブに行った際、 フルフェイスのヘルメットを抱えた成田氏を見かけた事があり、 ああなるほど、と感じていた。やっぱり男の子は、 暴走するものが好きなのね、と。
その後数日間続く耳鳴りを愉しみながら、 スピードとはこの世で最も美しい現象なのではないかと感じる。 それは単なる思い出ではない。 しっかりと心の奥底に刻まれた確信である。
(大分前に発売されたDVDはこの頃のライブだと思う。)
そしてこの二枚目のアルバムについて何処から知ったのか、 ビアフラ氏の情報網やネットワークにも驚かされる。
その後時は流れ、殆どの録音は再発され、 誰もが気軽に楽しめる様になった。
私もGreen Flamesのライブに何度か足を運んだ。勿論それは、 あのHIGH RISEではない。時は流れ、人は歳を取る。 どんなに好い年の取り方をしていたとしても、その時の緊張感、 気力や勢いなどは取り戻せない。そして青臭さも。
再び同じメンバーで演奏したからと言って、同じ演奏ではない。 それは単なる懐古趣味である。
追体験のみの若いリスナーには申し訳ないが、 リアルタイムで体感した記憶は、 その瞬間を生きたかけがえのない宝物である。
どうかこの盤を手に取り、当時の空気を想像して欲しい。 出来る限りの感覚を駆使して、目を閉じて、 あの時代のアンチノックや二万ボルトにいる気分を妄想して欲しい 。
あの頃のライブハウスの空気はむせる様な熱気を孕んでいたが、 確実に現在とは異なっている。時代背景も、居合わせた人物も、 似ている様で全く違う。記録された轟音だけが、 生々しく息づいている全てである。

再結成など、(勿論不可能であるが) 決してあってはならないのだ。

(Rie Fukuda)

 

https://youtu.be/Yz6K7U_TfzQ

https://youtu.be/nTEXoeZGRxs

 

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PSF-3~4,1989年,PSFD-3~4,1997年

不失者/不失者1st (2枚組)

10点☆(不失者で1,2を争う聴きやすさ。宮岡)

 

 

灰野敬二氏率いる不失者のデビューアルバムにしてPSFで最も売れたという代物。(総販売枚数3000枚:生悦住さん談。)僕が16歳の時地元のブックオフで見つけて、PSFや灰野敬二のコレクションを集めるきっかけになった1枚です。綿密に作り込まれたこのアンサンブルは、ノイズとも、通常のロックとも異なる、風変わりで極端に神秘的なサイケデリック・アヴァン・ブルース。この作品が他の不失者の作品と大きく異なるのは、なんといってもその楽曲の馴染み易さであろう。当時灰野敬二をファズと轟音の人と思っていただけに、オーソドックスなギタープレイに、時にハーモニカを携え、悍しく、時に朗々と、切々と歌い上げる様には驚いた。全曲素晴らしいが、個人的に"あっち"のギターソロは何度聴いたか分からない。メンバーはこのアルバムのみ4人体制でベースは不失者の核メンバーと云える故・小沢靖さん。生悦住さんにお会いした際に(2013年)、「不失者はもう無い、不失者は小沢君のバンドだった。小沢君のベースと(灰野さんの)ギターが自由に弾きまくってるのが凄かった」と仰っていたのが印象的だった。(当時の演奏を体験することはもう叶わないが、後に紹介する不失者のDVD(PSFV-1)でその凄さを垣間見れる。)

サイドギタリストは後に静香のギタリストとして活躍される三浦真樹氏。ドラマーは阿久井喜一郎氏と村山政二朗氏。阿久井氏は2019年に不失者で再びプレイしている。

(文責:宮岡永樹)

 

日本で初めてサイケデリックの本質を真の意味で表すことができたロックバンドがこの「不失者」だが、このCDを聴くよりまずライブを体験することをおすすめる。若い人達には申し訳無いが、あなたたちが聴いてきた日本のロックと言われている大手レコード会社からリリースされている音楽群は、不失者のライブを見た後ではすべて…。

(生悦住英夫氏・STUDIO VOICE(スタジオボイス)2000.⑦月号VOL.295より引用)

https://youtu.be/LLhdWZZWzWU

https://youtu.be/7xqWJT64tuw

 

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PSF-5,PSFD-5 ,1990年

三上寛,吉沢元治,灰野敬二/平成元年Live!上

10点☆(宮岡)

 

この上下2枚のライブ盤は、彼らのファンのみならず、音楽愛好家を自称する全ての方に聴いて頂きたい名盤です。三上寛のフォークギターと歌に、時にこの上なくやさしく寄り添ったり、ときに激しく切り裂いたりという灰野敬二のギター、吉沢元治のベースはこの2枚の盤できけるプレイが個人的には一番好きかもしれません。難解なフリーフォームもこなす彼らが、こうして真っ当な実力をもきちんと備えているということが、よく分かります。

まさに革命的名盤、絶句。

(文責:宮岡永樹)

 

レビュー募集中

https://youtu.be/ZktiTJq2LKc

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PSF-6,PSFD-6, 1990年

三上寛,吉沢元治,灰野敬二/平成元年Live!下

10点☆(宮岡)

 

https://youtu.be/GTG1CSXFhtE

 

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PSF-7,PSFD-7 ,1990年

灰野敬二/滲有無

7点☆☆☆☆(宮岡)

レビュー募集中

(予定執筆者:門脇綱生)

https://youtu.be/-eCIKLigI2U

 

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PSFD-8 1990年

吉沢元治/Gobbledygook

レビュー募集中

 

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PSFD-9 1990年

Ghost/Ghost

9点☆☆

2014年に解散したこの日本のアンダーグラウンドサイケデリックロックの存在を知ったのは、これもWhite Heaven同様ネットで。

2013年頃にサイケデリックロックのファン達がお気に入りのバンドの動画を貼りつけていくスレをこのサイトで見て興味をもった。
当時のそのサイトで見たこのバンドの動画は彼等の通算8枚目のアルバム「Hypnotic Underworld」の収録曲だったが私はこれがこのバンドのラスト•アルバムとなった
「In Stormy Night/嵐の夜に」の方が気に入った。
キング•クリムゾンを彷彿とさせるダークでハードで破壊的でヘヴィなサウンドの曲と中世ヨーロッパの古楽やオリエンタルな民族楽器を駆使したアコースティックで静かな曲との両面を持つ音楽性。
繊細でダークで、そのバンド名のイメージどおりの神秘的な楽曲に惹かれた。
Voの馬頭將器の歌と英語の発音は残念ながら上手いとは言えないが、ちょっと声が私が好きな(後追いだけど)JAPANのデヴィッド•シルヴィアンに似ているような感じで。褒めすぎ?

その後、このバンドの上記の2枚のアルバムを購入し、愛聴していたが、翌年にこのバンドはネットにひっそりと解散を告知した。

その後、2017年にディスクユニオンのレーベル、super Fujiからこのバンドのライヴ•アルバム「Live In Providence」と彼等がこれまで発表したアルバムの再発盤と編集盤のCDが発売され、私もこの彼等のP.S.Fレーベルから発表したアルバムを入手する機会に恵まれた。

バンド名がタイトルにつけられた1991年発表の、この彼等の1stアルバムだが、
1曲目の「Sun IS Tagging」のっけから、僧侶が持ち歩いている鐘と鈴の音が微かに流れ、「あれ?音小さい?」と音量を上げると、とんでもない事になる。
ドドドドドーーッと突然に音が爆音になり、ドラムがめちゃくちゃ叩き鳴らされ、それに合わせたメンバー達の絶叫!
まるで音響ハラスメントか、ホラー映画のショックシーンのよう。
私は以前はヘヴィメタルファンで、このアルバムが発表された91年当時はそれと同時に60〜70年代のハードロックやプログレ等を聴き始めた頃に当たるのだが、これらのバンドのアルバムのオープニングは、映画音楽を彷彿させるSEや(メタルバンドの場合はホラー映画風が多い)または、ギターソロでドラマティックにリスナーの気分を盛り上げて始まるパターンを多く聴いてはいたが、こんなドッキリする仕掛けのバンドのアルバムを聴いたのはこれが初めて。
その数秒後に一転して、穏やかなアコースティック•ギター•ナンバーに。

続く2曲目の「Guru In The Echo」は、馬頭將器が奏でるペコペコとしたアンプ を通したバンジョーの音色がスペーシーでユニーク。
メロディがボブ•ディランを彷彿させる、ビートニクな雰囲気で曲調はオルナタナティヴロック。
このバンドは笛の音が入っていて、この音を聴くと無性に懐かしい気分にかられる。

全曲、アコースティックなアシッド•フォーク•アルバムで、8曲目の「Rakushu」はイギリスのシューゲイザーをアコースティック楽器で演奏した感じ。

9曲目の「Strange Funny Cycle Of My Rain」は、一転して奇を衒ったところのなく素直にイギリスのフォーク•ミュージックを目指して奏でられている。

今回の再発盤にボーナストラックが3曲追加収録されているがこの中の「Blood Red River 」はこのCDで馬頭自身が書いたライナーノーツによると全然ブルースマンのベッグ•レッグ•ハウエルのカヴァー曲。
私はYouTubeでこの原曲を聴いたが全く原曲とは全く異なるヘヴィで大胆なアレンジが施されて演奏されている。
上手く言葉で表現できないが、これぞアングラ!って雰囲気。

こんな唯一無二の個性を持ったバンドが日本ではほとんど知名度を得られなかったなんて。
残念でならない。

(文:BADMOTORFINGER)

 

 

レビュー募集中

https://youtu.be/XoGc5eakqAA

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PSFD-10 1990年

向井千惠/Kokyu Improvisation

10点☆☆☆(宮岡)

レビュー募集中(執筆者:門脇綱生)

 

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PSF-11,1991,PSFD-11,1994年

White Heaven/Out

2020年、米Black Editions によりリLP再発

10点☆☆(宮岡)

 

惜しくも解散してしまったホワイトヘヴンには、日本での評価の低さに反比例して海外でも支持が異常に多い。特筆すべきはリーダーの石原洋のヴォーカルと栗原道夫のギターだろう。二人とも確固たるオリジナリティを持つサイケデリアなのだが、去年、両者を含む4人で新バンド(スターズ)を結成した。今後に注目。

(生悦住英夫氏・STUDIO VOICE(スタジオボイス)2000.⑦月号VOL.295より引用)

 

 

 内側にひたすら狂っていくような暴力性、幽玄、濃密な空虚、エロ ティシズム。透徹した美意識が幾重にも織り込まれ秩序をなすこの アルバムは何度聴いても飽きのこない味わい深さがある。
 街中ではバブルでうかれたトレンディードラマのタイアップのラブ ソングが溢れる1991年(私はまだ生まれていないが想像に難く ない)、朧げで黒色の国産本格サイケデリックロックが東京の地下 に存在していた。

 オブスキュアな石原洋氏(以下、敬称略)のサイケデリックボーカ ルとカッティングに栗原ミチオのギターが神経症のように、 または暴れ回った後の諦念、寂しげな慈しみのように絡み、穴蔵の 中で遠くから響くような石原謙のドラムと吉本尚弘(Verzer k)のベースがリズムを朧げに構成する。(プロデューサーはGhostの瀧沢大志)
 このアルバムの独特な匂い、サウンドは一朝一夕の音遊びからは決 して生まれるものではないだろう。それは厳格なサイケデリック、 ガレージロックのリスナーである彼らの妙なるバランス感覚の上で のみ成り立つものだ。(ヴェルヴェットアンダーグラウンドやT. REX、indexなどとの類似性は他にも言及されているのでこ こでは割愛させてもらう)
 私がこのアルバムを手にしたのは約8年ほど前、まだ中学生だった 。当時はとんでもないものを聴いたという感覚があったが、掴めそうで掴めないような、上手く消化できない歯痒さを感じたことを覚 えている。そして、このアルバムの"この世ならざる感覚"をなん とか理解しようと中学野球の部活の後、何度も繰り返し聴き続けた 。そして未だに「OUT」を聴くたびにサウンドの密度は増し、そ の度に自分がひたすらこの中に居たいという切望を覚える。
 このバンドが持つ匂い、感覚は癒えることのない大きな傷口、また はヴォイドをやさしく覆ってくれているかのような錯覚をもたらし 、私はそこにひたすら沈んでいくのみだ。

 2020年、Black Editions(US)より、カッティングはBernie Grundman studios、マスリングは同スタジオのChris Bellmanが担当しアナログ再発された。読んでくださった方 がこの際に手にとってくれれば嬉しい。

 最後にwhite heavenの石原洋(gt.vo)のSTUDIO VOICE(2000年07月号vol.295)に寄稿した文章 を引用し、拙文を締めることとする。
「それは実生活の場から限りなく遠ざかろうと希求する意志なのか 、また薄暮の中に沈んだまま一人遊びに熱中する幼児のようなもの なのか。私のように一切の終わりの到来を待望しているようなもの にとってはここはとても居ごこちのいい場所なのだ。相変わらず過 去は無傷のまま何喰わぬ顔で通り過ぎてゆく。サイケデリックとは そうした通りすがりの風が舞い上げていった、どこか遠くにあった らしい未明の王国の残り香のようなものなのか。」

文責:鈴木開登(跡地、PICNIC YOU)

 

 

私がこのバンドのこのアルバムとの出会いは昨年2019年のゴールデンウィークの直前に、あるSNSの私のお友達さんから教えてもらった。

園子温の映画「愛のむきだし」で楽曲が使われた事で知られる日本のサイケデリックロックバンド、ゆらゆら帝国(私はファンではない)のプロデュースで知られる石原 洋が結成していたこのWhite Heavenの1991年発表のアルバム「Out」

歌詞は全曲英語、収録曲は6曲とコンパクトに纏められている。
私はSNSのお友達さんから、このバンドの動画が添付されたコメントで教えてもらった後、当時、ディスク•ユニオンの新宿ロック館のHPの中古盤CDのリストに偶然このバンドのこのアルバムが掲載されていたのを見て、早速問い合わせて通販で注文し購入。

サイケデリックバンドでこのバンド名…
白い粉、ヤバイ違法薬物を連想してしまう名前…(笑)
当時このアルバムを発売していたインディー レーベルがあの日本人アーティストでありながら、本国日本より欧米で一部のノイズ~オルタナティヴロックのマニアックなファン達に名が知られている灰野敬二と、これも数年前にネットのサイケデリックロックのスレで動画を見てハマったGhostと同じ今は無き伝説のインディーレーベル、P.S.Fから発表されたアルバム。

レーベルメイトの灰野敬二は彼の唯一無二のアヴァンギャルドとしか呼びようのない孤高の音楽性、
Ghostは中世音楽や中近東やインド音楽で使われる民族楽器用いたトラッドな音楽の要素とピンク•フロイドやキング•クリムゾン、レッド•ツェッペリンから受けた影響とを融合させたサイケデリックロックバンドだが、こちらWhite Heavenは一聴してすぐにロックだとわかる、60年代後半にロックシーンに登場し、パンクの元祖と呼ばれたアメリカのガレージロック、あるいはガレージ•サイケに影響を受けたのが伺える音楽性だ。
91年当時の日本のインディーズ•ロック•シーンは、ちょうどバンドブームが終わる頃だったろうか。
当時はブルーハーツ等のビートパンクバンドが流行していた頃。
そんな時代にこのバンドのように60年代のサイケデリックロック志向のバンドは珍しい。
日本のロックバンドは日本語で歌う事が関係しているのか、メロディが歌謡曲的なバンドが多く、またそうしたバンドが我が国では売れる傾向があるが、
このバンドもGhost同様、日本の歌謡曲の要素は全く感じられない。
凄く日本人離れしたバンドだ。

更にこのアルバムのレコーディング•プロデューサーもGhostのメンバーで後にバンドメンバーからレコーディング•プロデューサーを担当していた瀧沢大志がこのアルバムのプロデュースを担当。
そしてもう一人、このバンドからギタリストの栗原ミチオがメンバーとして参加している。
私が好きなバンドのメンバーがこんなにも関わっていたなんて。

まずは1曲目の「Blind Promise」はMC5の「キック•アウト•ザ•ジャムズ」
2曲目の「Dull Hands」はイギー•ポップ&ザ•ストゥージズやブルーチアーを彷彿させる。
3曲目の「Falin Stars」は、ヴェルヴェット•アンダーグラウンドのアルバム「III」と、ピンク•フロイドの「デブでよろよろの太陽」が混ざったような物悲しくも気怠いメロディの曲。
4曲目の「My Cloud Dimension」はステッペン•ウルフっぽいハードロック。

日本のバンドでは貴重なタイプの音楽性のバンドだ。
勿論、私もこのバンドは好きでこのアルバムを愛聴中だが、苦言を書くと、残念ながらまだ洋楽ロックからの影響が楽曲に素直に表れすぎてオリジナリティはあまり感じられない。

そして、このアルバムの録音の音質がロックやポップスには肝心要のドラムとベースのリズム隊の音が、なぜかスピーカーの奥に引っ込んだ音で録られているのは残念。

(文:BADMOTORFINGER)

 

https://youtu.be/7L-g4MuqD6c

 

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PSFD-12,1991年

V.A./Tokyo Flashback 

10点☆☆☆☆(宮岡)

 

発売からそろそろ10年近くたつというのに、未だに海外からのオーダーが絶えない、隠れたベストセラー・コンピレーション・アルバム。マーブルシープを筆頭にホワイトヘヴン、ハイライズ、ゴースト、光束夜、不失者などの未発表テイク満載、東京のサイケデリック入門はこのCDから。

(生悦住英夫氏・STUDIO VOICE(スタジオボイス)2000.⑦月号VOL.295より引用)

 

https://www.youtube.com/playlist?list=PLt3Pke412qVdjE3BQK2GpjA3cZ9rRWxtk

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PSFD-13,1991年

三上寛/俺が居る。

9点☆☆(宮岡)

 

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https://youtu.be/pwFk2snPeDg

 

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PSFD-14,1991年

角谷美知夫/腐ってくテレパシーズ

9点☆☆☆(宮岡)

 

知る人はあまりいないが、一部で高い評価を得ているアシッド・サイケ・アルバム(良い子が聴いたら拒絶反応を起こすだろう)。10年ほど前に惜しくも他界してしまったが、工藤冬里や金子寿徳、ハイライズの南條麻人達とのセッションや自宅での録音をCD化したこのアルバムの中で彼は今も生き続けている。

(生悦住英夫氏・STUDIO VOICE(スタジオボイス)2000.⑦月号VOL.295より引用)

 

 

 

この文章を書くためにこの曲集を久々に恐る恐る聴いた。あの頃[1]のどんよりとした気持ちはすっかり晴れたようだ。俺はよくこれを聴きながら高校[2]から帰っていた。あまりにも合わない教師どもにウンザリしながら。それでも角谷美知夫がウンザリしていたことには遠く及ばないだろう。

 これは凡そ60年前に生まれ、凡そ30年前に亡くなったミュージシャンの1人[3]、角谷美知夫が残した音源をまとめた追悼盤である。中島らもの家[4]に転がり込んでて、中島らもの小説の中に出て来る[5]のが代表的なエピソードだろう。少し付け加えるならばVanity Records[6]からリリースされたTolerance『Divin』[7]には「boku wa zurui robot」という曲[8]が収録されている。これは彼の詩にToleranceが曲をつけたものだ。

 かつて分裂病と呼ばれていた統合失調症であったらしい彼の書く詩は、思考が分裂というより止め処なく拡散されてしまい統合できなかったように思えてならない。もしオーヴァードーズ[9]による膵炎で亡くなってなかったとしても、平成以後とても速い海流のように押し寄せて来るあらゆる情報は彼にとって毒であったに違いないだろう。

脚注:[1]2011年9月以降。この年の3月に個人的な卒業祝いで東京に独り旅するつもりが震災で延期、8月改めて東京へ行った際に確かこの曲集をモダーン・ミュージックで購入した。[2]阪急沿線にある私立高校。俺は2011年4月から翌年3月までの1年間在籍していた。[3]JAGATARA江戸アケミ、ウルトラビデの渡邉浩一郎の名を列挙したい。[4]前述の高校近辺にあるらしい。[5]書く必要もないかも知れないが『アマニタ・パンセリナ』や『バンド・オブ・ザ・ナイト』に登場する。[6]故・阿木譲主宰の自主制作レーベル。[7]丹下順子と吉川マサミによるエレクトロニクス・デュオの2ndアルバム。[8]レーベル面の表記から。インサートはuがwとなっている。[9]山崎春美によればコデイン中毒が原因のようだ。

(文責:呉川由融)

 

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(予定執筆者:PULL,,)

https://youtu.be/wRq2Qv5lBtQ

https://youtu.be/AKykTKFZWXQ

 

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PSFD-15~16,1991年

不失者/不失者(2nd)

10点☆☆☆(宮岡)

 

※敬称略です

灰野敬二率いる不失者の2ndアルバム。
1991年リリース。二枚組ライブCD。

特に海外で評価の高い本作。
CDの帯にProducerなどの情報は記されているが、演奏メンバーの記載はなし。書籍「捧げる 灰野敬二の世界」や、Red Bull Music Academyの記事(https://www.redbullmusicacademy.jp/jp/magazine/a-guide-to-keiji-haino)から推測するに、ギター・ボーカル灰野敬二、ベース小沢靖、ドラム小杉淳のトリオによる録音のようだ。

内容は、ハードなサイケデリック・ロック・・と簡単に言葉にしてしまうには、あまりにも壮絶な演奏。1stのメロディアスな面は影を潜めて、不失者独自の、きわめてヘヴィな音楽が展開されている。

曲名は記載されていないが、現在のライブでも披露される「暗号」「おまえ」といった曲が演奏されているほか、「うまくできない」(灰野敬二ソロ1st「わたしだけ?」に収録)「すきにやればいい」(不失者1stに収録)といったことばも聴き取れる。

ディスク2枚、トータル150分の長さのこの作品のなかでも、個人的に特に好きな箇所をいくつか挙げる。

・Disc 1、2曲目や3曲目などの、重たく刻まれるベースとドラムのリズムのなか、聴き手の時間/空間の感覚をぐにゃりと歪ませるようなギターソロ
・Disc 1、4曲目の静謐な演奏のなかで響く、美しくも悲しい灰野の声
・Disc 2のラスト(「おまえ」と思われる曲)の、壮絶なギターソロが終わったあと、最後にテーマのリフに戻ったときの、チューニングの少しズレたギターの音色

この作品の頃の灰野敬二の音楽を聴くと、パーソナルな視点から、言葉が、音が、発せられているように感じられる。近年の灰野の演奏や、発せられる言葉からは、聴き手に直接訴えかけるような力強いストレートなメッセージも多いが、この作品のころは少しニュアンスが違って、自らの内側を表出させることに、よりウェイトが置かれているようにも感じる。
ただ、独自の言語感覚/音の感覚に基づいた、必然性のある言葉/音、ということは昔も今も通底している。

灰野敬二の音楽の根底にある大きなものの一つに、灰野敬二という人間の、悲しみ、があるのではないかと筆者は思っている。ブルース、と置き換えてもいいかもしれない。
灰野敬二名義の1stアルバム「わたしだけ?」から、近年のライブでの演奏に至るまで、その音楽には深い深い悲しみが潜んでいることを感じる。

この2ndに収められた演奏は、灰野敬二という人間の、張り裂けんばかりの心からの叫びだ。そしてそれをメンバーの小沢と小杉が汲み取って最良の形で支えていることが、この作品を名作たらしめている。

(文責:坂口諒之介)

 

 

 

https://youtu.be/7EyJ6CNJ7U8

https://youtu.be/GOye4zUymQ0

〜関連盤〜

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TIME BOMB,Bomb CD-48,1997年

HIGH RISE - PSYCHEDELIC SPEED FREAKS '84 - '85
9点☆(鳩)


唐突に出た感じの未発表音源集。
大阪のレコード店 TIME BOME REC からのリリース盤。
タイトルは、1枚目を使用しているが音は完全に 2枚目の「Ⅱ」以降の音。
独特な、楽器の音を分離させずギターノイズで覆うアレ。それに、反発してるかの様なうねるリズム。
なので何故タイトルに「'84 - '85」とあるか意味が分かる。
dr が Dr.EURO こと氏家さんなのでまあそうなるよなとは思う。
ここで聴ける未発表音源から 3曲「Ⅱ」に選曲されているので、「Ⅱ」制作用のセッションなのだろうと考えると凄く興味深い1枚。

感想。
最初聴いた時は、何でベースの音が聴こえ辛いんだろうと。もっと分離を良くして低音を出してくれとなりました。
同時期にメルツバウの1930やtentacleなんかも聴いていたのでそっち側の耳で聴いていた。
完全にダンスミュージック好きからの意見。
すっと聴ける様になったのは、00年代後半からのドローン/ノイズの作品群を聴いてから。
あの激しい曲群をアンビエントとして聴いてます。

疑問。
何故、大阪のTIME BOMEからのリリースだったのか。それも97年。
南條さんは、セルフレーベルというか自主で作品を出しているから敢えて他レーベルから出したのにはどういう意図があったのか。

時代背景。
最初聴いた時は、中古で買った物で98年前後だったと思う。当時は、クラウトロック再評価から一区切りついた時期でその流れでサイケ物を探して手に入れた一つだった。
ボアダムスがクラブ/レイヴに接近していた頃。
メンバーのHILAHさんの別バンドの花電車がこれに近いアプローチのアルバムを出していたり。
大阪は、異常にボアダムス周辺の影響が大きかった。
また、アルケミーレコードがあった影響かノイズも強かったし、自分もハマってた。
クラブで遊んで帰って家でサイケやノイズをchill out として聴くみたいな。
freak outか?

(文責:タカタ)

https://youtu.be/rdlJ_szMK5I