P.S.F. Records Modern Music 研究室

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HIGH RISE / II [PSF-2,PSFD-2] 〈P.S.F.Records〉

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High Rise – High Rise II

P.S.F. Records - PSF-2,PSFD-2
1986年(LP),1993年(CD)
-Genre,Style-
Garage Rock, Punk, Psychedelic Rock

-track list-
1 Cycle Goddess (0:54)
2 Turn You Cry (3:06)
3 Cotton Top (4:19)
4 Last Rites (2:49)
5 Wipe Out (5:13)
6 Pop Sicle (13:10)
7 Monster A Go Go (5:23)
8 Induced Depression (3:59)
-Credit-
Bass, Vocals – Asahito Nanjo
Drums – Yuro Ujiie
Executive-Producer – Hideo Ikeezumi
Guitar – Munehiro Narita
Producer [Produced By] – High Rise 
Recorded By – Kenji Nakazawa 
Recorded By, Mixed By – Kazuteru Hama

 

10点 (とても聴きやすいです。宮岡)

 

 

記憶の彼方より
(参考資料 : G-modern Vol.13)

これは上質なハードロックである。 サイケかどうかは最早問題ではなく、ハードロックである。
そして、地の果てまで疾走する。

私も所持している記念すべき一枚目のアルバムは、 どこかの練習スタジオでカセットテレコで録音したそうであるが、 この二枚目のアルバムは所謂"マイクを何本も立てて" 録音した物との事。
またこのアルバムを録音した頃からドラマーが高橋幾郎氏から氏家 悠路氏となり、ライブハウスで演奏する様になったらしい。
折しも時代はインディーズブームに沸き、 地下には本当に沢山の独特な、不思議な、 変わったバンドが犇いていた。
非常に繊細であるとか、 極端に人見知りをするだとか精神が不安定であるとか。。 不健全さが大っぴらに美点となるのはこの頃からではなかったかし ら。もう少し前かな。 わたしもジャンクフードばかり食べて栄養失調気味だったから、 他人をとやかく言えないけれど。
そんな中で、サイケデリックなムードを愛する層にHIGH RISEの噂は流れていた。
サイケデリックであると言う事はどういう事か。
ドラッギーである、オルガンが鳴っている、 キーがどんどん転調して捉え所ない、とか? 髪を伸ばしペイズリー模様やカラフルなシャツを着ている事か。 或いは黒い服を。
それは所詮、ごく表面的な要素でしか無いだろう。 ぎりぎりまで追い込んで、とある境界線を越えた時、 吹っ切れた様に爽快な動きを見せたスタイルであり、 追い込まれ迷走するスタイルである。
サイケデリックであるかどうかが重要なポイントとなる事も多いけ れど、果たしてそれは美点なのだろうか?
この盤が、サイケデリックであるかどうかはよくわからない。 少なくとも上質のハードロックであるのは確かだ。
HIGH RISEやPSF系のライブに行った際、 フルフェイスのヘルメットを抱えた成田氏を見かけた事があり、 ああなるほど、と感じていた。やっぱり男の子は、 暴走するものが好きなのね、と。
その後数日間続く耳鳴りを愉しみながら、 スピードとはこの世で最も美しい現象なのではないかと感じる。 それは単なる思い出ではない。 しっかりと心の奥底に刻まれた確信である。
(大分前に発売されたDVDはこの頃のライブだと思う。)
そしてこの二枚目のアルバムについて何処から知ったのか、 ビアフラ氏の情報網やネットワークにも驚かされる。
その後時は流れ、殆どの録音は再発され、 誰もが気軽に楽しめる様になった。
私もGreen Flamesのライブに何度か足を運んだ。勿論それは、 あのHIGH RISEではない。時は流れ、人は歳を取る。 どんなに好い年の取り方をしていたとしても、その時の緊張感、 気力や勢いなどは取り戻せない。そして青臭さも。
再び同じメンバーで演奏したからと言って、同じ演奏ではない。 それは単なる懐古趣味である。
追体験のみの若いリスナーには申し訳ないが、 リアルタイムで体感した記憶は、 その瞬間を生きたかけがえのない宝物である。
どうかこの盤を手に取り、当時の空気を想像して欲しい。 出来る限りの感覚を駆使して、目を閉じて、 あの時代のアンチノックや二万ボルトにいる気分を妄想して欲しい 。
あの頃のライブハウスの空気はむせる様な熱気を孕んでいたが、 確実に現在とは異なっている。時代背景も、居合わせた人物も、 似ている様で全く違う。記録された轟音だけが、 生々しく息づいている全てである。

再結成など、(勿論不可能であるが) 決してあってはならないのだ。

(Rie Fukuda)